映画 ソウル・ステーション/パンデミック  感想!

帰る場所はどこにある?

新感染 ファイナル・エクスプレスの前日譚的な。

 ということで「映画 ソウル・ステーション/パンデミック」見に行ってきました。この作品は日本ではなぜか公開が逆になった「新感染 ファイナル・エクスプレス」の前日譚にあたる作品で、大韓民国ではこの「ソウルステーション」「ファイナル・エクスプレス」の順番で公開されている作品である。 詳しいところだとこの2つの作品は完全に繋がっているというよりも裏と表のような表裏一体の位置関係になっている作品だそうだ。

 時間軸的には新感染の冒頭に繋がっている作品である。だがこのソウルステーションは新感染と同じような時期に生まれた企画であるがキャラクター同士がリンクしているということはない。だからこそ全体的に言えば分離独立している作品であるといっても過言ではないし分離独立して楽しめる作品であると思う。もちろん2粒なめればよりおいしくなることには間違いないだろうと思う。

 元娼婦の「ヘスン」その恋人「キウン」そしてヘスンの「父親」この3人がメインのゾンビが町中を支配していくというスケールはデカいけれども物語の中で展開していくメインストーリーは小さくコンパクトに収まっている作品であると感じるところだ。だからこそ新感染と同様に一般人事件に巻き込まれた人間の心を強く映し出しているように感じられるところでもある。

 新感染では比喩的表現は合ってもそこまで露骨に展開されていなかったが、この作品には社会批判も強く盛り込まれている。大元は地位の高いロ頃にいたものが今はこの事件で死ぬのを待つことになっていたり元々地位の高かったものがホームレスになっていたりと社会批判という形で大韓民国社会を映し出していたと感じられるところ。そういった社会的な要素が強く出ていた作品ではあった。

 又テーマとして「家」が出ていた。ヘスンやホームレスのおじさんなど「家」に帰りたいとの言葉を口にしている。しかしながらそれぞれの「家」が失われているというのも帰る場所がないからこその「暴動」とも考えるとなんだかいっそう作品内に包括されている闇の濃さが強くなるように感じるところ。

 ヘスンとキウンがケンカしたことによって2人は別々の場所からお互いを探すことになるのだけれどもヘスンの「父親」とキウンの関係本当の怖い父とその父にあってしまった男の関係になっていると思う。こういった関係の2人旅?も珍しく感じるところではある。ゾンビもので男2人旅って需要という意味を考えるとそれを望む人の割合は非常に少ないだろうから。

 なんだかんだでヘスンは生きるのに必死。ホームレスのおじちゃんについていったりして生きながられるというのは不思議な運命ではあると考えるところだ。ヘスンと離れたらそれこそホームレスのおじちゃんは撃たれてしまったわけだし、なんだかんだでヘスンが取り巻いていたオーラは生き残るためのオーラだったのかなと思う。

 新感染では銃器が使われることはなかったがこの作品では市街地が登場しているためか軍と感染者たちの攻防戦が描かれていて柔気が使われているのも一つの特徴である。しかしながらこの作品ではそうであったのにそれこそ新感染で一切使わないという決断はなかなか出来るものではないと思う。

 キウンと共にヘスンを探していた「父親」が肉親の父親という意味ではなく娼婦の元締めだったのには驚いた。娼婦の元締めは娼婦からしてみれば父親みたいなものだって…。ヘスンがその父親から逃げているために捕まえるためだけにこうして感染者から逃げつつ追いかけてくるというのもその執念は一体どこから来るのか。金の為とはいえそんな並々ならぬ周辺はそんじょそこらの欲望の魂では作り上げることすら叶わないだろう。

 こういったパンデミックものにはパンドラの箱を開けた時のようにどこかしらに希望が残っているものであるがこの作品の最後のどんでん返しは完全なるバットエンドということだろう。 ヘスンもキウンも元締めも死に至る。バットエンドで物語を締めくくるという展開はなかなかないかなと。

 家を探し求めて家に帰りたいと願っていたからこそ本当の家がない者たちは家という安寧を手に入れることが出来ずそのままのたれ死ぬ。 ラストにも社会風刺が込められていたのだろうとも感じられるところだ。

 ゾンビものでありつつもセオリーを感じさせない作品にはなっていたと思う。緊張感というかどこか日常の延長線上の中での騒ぎに感じられるところがあるがS路絵こそが狙いであるとも感じられる。
 ゾンビ=恐怖ではない新たな一面を出した作品であると感じられたところだ。
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